住宅省エネ技術講習会と改正建築物省エネ法の説明会へ参加してきました。 もともと省エネの範疇は得意にしてます。修業をした事務所がエコハウス大賞を受賞するくらい高気密・高断熱を得意としていたのは当然ですが、そもそも施主の時代から興味があって、実家の設計を頼む設計者を決めるときに、高気密・高断熱へ対応できることが条件でした。(実家の設計を頼んだ事務所と修業をした事務所は同じです)私自身は施主の段階で既に新木造住宅技術研究協議会(新住協)の「熱損失係数及び暖房エネルギー計算プログラムQPEX」で設計案の断熱性能を計算したりしてました。そのころから変わらず興味を持ち続け、勉強し続けている分野です。それに見合うだけの奥の深さもあるんです。
改正建築物省エネ法説明会
はじめに、改正建築物省エネ法の説明会でした。こちらは、パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の一環で、住宅・建築物分野において2013年度実績に対し、2030年度には40%のCO2排出量を減らすための具体的な方策を決めたので説明しますよという会です。これまであまり進んでいなかった住宅や小規模建築物の省エネ化を加速させようと2019年5月から段階的に法改正されています。だたし、建築主が書面にて希望しない旨を伝えれば説明不要です。
住宅に関して一番大きな変更点は、 2021年4月から 始まる省エネ性能に係る「説明義務制度」になるでしょうか。①省エネ基準への適否、②省エネ基準に適合しない場合は省エネ性能確保のための措置、について新築等の設計の際に、建築士から建築主に「書面」で説明を行うことが義務付けられます。それに先立ち、この11月から地域区分が見直され、2020年4月には外皮計算にも新たな評価法が導入されます。加えて、建築士にはその書面の保存も義務化される予定です。なお、説明時には省エネ基準への適否の他に、高断熱化による健康増進効果なども説明していきましょうという説明もありました。
今回の法改正で残念なところでもあり、注意が必要なところでもありますが、省エネ基準への適合が義務じゃないというところでしょうか。高断熱を日々研究・推進している側からは、この1点だけで骨抜きの法案だよね、とか言われています。私も完全に同意です。
住宅省エネ技術講習会
後半は、住宅省エネ技術講習会です。改正法エネ法を受けて高断熱化される住宅が増えることが予想され、施工方法や施工時に気を付ける部分など、テキストを用いた講習でした。この分野に関しては経験豊富ですが、ひとつひとつ復習のつもりでページをめくっていきます。ポイントはいつの時代も変わらず、基礎の土間床部、浴槽回り(UBまわり)、外気に接する床、開口部まわり、壁と天井・壁と床の取り合い部、配管貫通部、スイッチ・コンセントまわり。大前提としての防湿層と通気層の大切さも忘れてはいけません。
設計や施工を誤ると、高断熱化したことが仇となり、壁内結露を起こして逆効果になるなんてこともあり得ます。かつて北海道でナミダタケ事件など起きたりもしました。失敗もあったけれど、経験を積んだ寒い地域では、もうそんなことは起きないでしょうが、関東以南の暖かい地域で、高断熱化に慣れていない設計者や施工者・工務店によって、同じような問題が起こらないとは言えないです。設計者だけでなく、施工者・工務店も、きちんと技術力のある所を選びたいですね。もちろん、断熱材メーカーも研究を続けていて、 例えば、 マグ・イゾベール株式会社など は正しい施工方法について情報を開示しています。
チェックリスト
今回のテキストには、実務で役立てることができるチェックリストもついていました。現場は暑かったり、寒かったり、埃っぽかったり、危険な箇所があったり、集中力が落ちることもあります。そんな時に力になってくれそうです。現場監理については十分に経験豊富だと思ってますが、それでもやはり、学びつつけていくことが大切だと、会場の熱気にあてられた講習会でした。