住宅の設計をするときに、前回のキッチンと同じように大切な要素が、電気の計画です。スイッチ、コンセント、照明などなど、設計者としては腕の見せ所であり、悩みどころでもあります。それはクライアントであるお施主様も一緒ですね。その中でも照明計画は特別な位置づけだと思います。もちろんキッチンスペシャリスト同様に、これについてもこっそり知識を積み上げてきましたが、そんな知識の整理と新たな知見を求めて、ライティングコーディネーターの勉強をしてました。建築の学校では照明計画の勉強はしないので、どれだけ自分で学んでいけるかはとても大事なことだと思っています。
照明計画を綺麗に見せるためには、建築の他の要素(内装から設備機器からおさまりから…)とのバランスが大切。それと照明が光っていない時の姿も、日中どう見えるかも大切にしないといけません。そうやって考えていくと、電気計画と一口に言っても、最終案をまとめるときには内装、機器、おさまりと決まっていないと綺麗にはいかない理屈です。自然と現場への指示は、ショールームで作ってくれるような機器リストではなく、下の写真のように、電気だけでなく他の給排水設備やおさまりや現場での位置出しの基準などをまとめたものになってきます。
そのため器具をどこへ配置するか考えるとき、中心合わせばかりが正解なわけではありません。どう魅せたいか?どこをどう光らせたいか?壁か天井か床か?さらにはどこから配線を持ってくるか?配線は壁の中を通るので構造材とどうやって整合性を取るか?
電球色、温白色、昼光色などの色温度の使い分け、スイッチの回路分け、3路スイッチ4路スイッチ、調光、ウォールウォッシャー(ユニバーサル)、センサースイッチやタイマースイッチや換気扇連動スイッチなどの使い分け、全体照明か局所照明か、家具やインテリアとの関係、自然採光を得る窓との関係、日が落ち明かりが灯った時の姿はどうか、と考えることは盛りだくさん。
これだけ決めていくことがあるので、現場では電気屋さんとの密な打ち合わせは欠かせません。あまり知られていませんが、電気屋さんは大工さんの次に現場に長くいる職人さんでもあり、設備屋さんや内装屋さんなど他の職人さんとも密接に関わる職人さんです。なので電気屋さんの腕も、良い照明計画、電気計画のためには欠かせないものです。
そして設計者も日頃から興味を持ち、意識して勉強していないと、しっかりとした計画、設計をすることは不可能。ライティングコーディネーターの大元である日本ライティングコーディネート協会には継続的な学習もできる仕組みが整っているので、これかも精進します。