設計事務所と施主の図書の保存

確認申請書の副本

建築士事務所の図書保存の制度の見直し

配置図、各階平面図、二面以上の立面図、二面以上の断面図、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、構造詳細図、構造計算書等、工事監理報告書の保存がすべての建築物について義務付けられました。住宅の設計の場合で変わるのが、これまで保存が義務つけられていなかった構造計算書等について、保存が義務付けられたところです。ちなみに保存期間は15年間。

建築士事務所の図書保存の制度の見直し

4号建築物と呼ばれる木造住宅(2階建て)では、壁量計算書、四分割法の計算、N値計算書にあたります。正直なところ、このあたりに保存義務がなかったことの方が驚きですが、この世界に入って内側から見るようになると、まぁそうだろうなと思う部分もあります。そもそも論として、木造住宅を設計しておきながら、壁量計算、四分割法、N値計算など、できない建築士がいますからね。建築士の試験に壁量計算は出題範囲ですが(必ず出るとは限らない)、できなくても合格はできるので、時間の取られる計算問題は最初から捨ててしまう受験者もいるくらいです。特に姉歯事件以降、建築士試験の難易度が大幅に上昇しているため、時間に追われる試験では、出るかどうかもわからないし、出たら出たで時間とられるし、時間かけた上に配点も少ないし、間違った日には目も当てられないってことで、真っ先に捨てられちゃうところでした。実務についたらついたで、 4号建築物って4号特例あるんで計算をしなくてOKだし…みたいな話も聞くんですが、これ、あくまで確認申請時に提出しなくていいってだけで、計算しなくていいって意味じゃないはずなんですよ。そんなこんなで、今でも壁量計算とかできない建築士が量産され続けているわけです。計算自体は簡単なので、私は施主時代にも自分で計算してましたが、せめて外注ではなくて自前で計算している設計事務所にお願いしましょう。もちろんローコスト住宅にも必要な書類ですよ。

壁量計算の壁量は最低でも基準法の1.5倍(できれば2倍)確保したい

これから設計がはじまるか、設計中の方であれば、壁量計算について建築基準法の1.5倍は最低でも壁を作ってもらいましょう。2倍ちかくまであればひとまず安心です。別の記事で詳しく書こうと思っていますが、建築基準法は最低限度しか定めないので、基準法を守っているだけでは阪神淡路大震災クラスの地震で倒壊は免れないと私は考えていますので。その上、基準法と品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)とでもまた扱いが微妙に違うので混乱のもとなんですが、そのあたりもいずれ別の記事で(別の記事へ:記事の後半でふれています)。

施主側もきちんと図書保存

施主の立場であっても、ちゃんと保管しておかないといけない書類があります。確認申請関連ですが、一般的に副本って言わる一連の図書・書類です。確認申請書の副本、確認済証、検査済証は再発行されないので、なくさずにずっと保管しましょう。他にも開発関係や市街化調整区域関係の書類、性能表示を受けたり、低炭素住宅や長期優良住宅に関する書類もあれば保管します。設計事務所からもらえる現場監理報告書も一緒に保管しておけば安心です。 その他にも、施工した工務店から引き渡しの関連書類として、瑕疵担保保険の書類なども渡されるはずなので、そちらも一緒に保管しておきましょう。

  • 確認申請書の副本
  • 確認済証
  • 検査済証
  • 現場監理報告書
  • 瑕疵担保保険の関係書類

トップの画像はうちの確認申請書の副本です。表題などは手書きでしょうから、誤って捨ててしまわないように気をつけましょう。引き渡し時は、引っ越しやら何やらでバタバタしているんで、うっかりということもあり得ますから、お気をつけて。